似た意味を持つ「共同戦線」(読み方:きょうどうせんせん)と「共闘」(読み方:きょうとう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「共同戦線」と「共闘」という言葉は、どちらも「ある目的のために結束すること」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
共同戦線と共闘の違い
共同戦線と共闘の意味の違い
共同戦線と共闘の違いを分かりやすく言うと、共同戦線とは複数の団体が結束している体制、共闘とは複数の団体が結束している状況という違いです。
共同戦線と共闘の使い方の違い
一つ目の共同戦線を使った分かりやすい例としては、「各国が共通の脅威に対して共同戦線を張る」「製薬会社同士が新薬開発のために共同戦線を張ることになった」「セクハラに対して女子社員が共同戦線を張る」などがあります。
二つ目の共闘を使った分かりやすい例としては、「野党は統一候補による共闘で選挙戦に臨むつもりだ」「国民春闘共闘委員会は1990年に発足しました」「このゲームは共闘マルチプレイが面白い」「おすすめの共闘プレイゲームはありますか」などがあります。
共同戦線と共闘の使い分け方
共同戦線と共闘という言葉は、どちらも「複数の人や組織が、ある共通する目的のために協力すること」を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
共同戦線とは、二つ以上の団体が共通の目的のためにつくる協力体制のことです。上記の例文の「セクハラに対して共同戦線を張る」とは、セクハラを防ぐような協力体制を作ったり、セクハラを受けた場合に訴えられるような仕組み作りをすることです。
共闘とは、二つ以上の団体が共通の目的のために争うことです。そのような状況を指す言葉であるため、共同戦線のような体制や仕組み作りの意味合いはありません。共同戦線と同じ意味を持たせたい場合は、「共闘体制」と表現します。
つまり、共同戦線とは協力体制を表し、共闘とは結束して争う状況を表すことが、二つの言葉の違いになります。
共同戦線と共闘の英語表記の違い
共同戦線も共闘も英語にすると「common front」「united front」となり、例えば上記の「共同戦線を張る」を英語にすると「present a common front」となります。
共同戦線の意味
共同戦線とは
共同戦線とは、二つ以上の団体が、当面する共通の目的のためにつくる協力体制を意味しています。
共同戦線の使い方
共同戦線を使った分かりやすい例としては、「西欧諸国が結束して共同戦線を張る動きがある」「力を結集して共同戦線を張る必要があります」「生徒たちは英語の授業をボイコットする共同戦線を張った」などがあります。
その他にも、「やむを得ずライバルと共同戦線を張る」「遊戯王の共同戦線カードをメルカリで買いました」「ドラクエで仲間と共同戦線を張ってクリアした」「男友達と恋の共同戦線を張ることになった」などがあります。
共同戦線とは、ある共通する目的を求めるために、複数の団体が協力体制をつくることを意味します。もともとは政治闘争用語でしたが、現在では、一致団結して物事にあたる体制をつくることを表す時にも用いられている言葉です。
共同戦線の「共同」は、複数の人や団体が同じ目的のために一緒に事に当たること、「戦線」は政治運動や社会運動で、闘争の場面を戦争にたとえていう表現です。
「共同戦線を張る」の意味
共同戦線を用いた言い回しには、「共同戦線を張る」があります。「張る」は構えることや整えることを表し、「共同戦線を張る」とは、複数の団体や人などが協力して相手と戦うことを意味します。
共同戦線の類語
共同戦線の類語・類義語としては、共通の目的のために小さな意見の違いを越えて一つにまとまることを意味する「大同団結」、仲の悪い者同士でも利害が一致すれば助け合ったりすることを意味する「呉越同舟」などがあります。
共闘の意味
共闘とは
共闘とは、複数の組織・団体が共同して闘争することを意味しています。
表現方法は「共闘する」「共闘姿勢」「共闘できるゲーム」
「共闘する」「共闘姿勢」「共闘できるゲーム」などが、共闘を使った一般的な言い回しです。
共闘の使い方
共闘を使った分かりやすい例としては、「野党は共闘勢力で一本化する構えをみせている」「ロシアと中国が共闘姿勢を誇示する」「全学共闘会議の議事録を英語に翻訳する」「共闘するヒーローたちのアクションシーンが最高です」などがあります。
その他にも、「グラブルの共闘クエストを徹底解説します」「共闘RPGが中高生の間で流行っている」「MTG公式サイトで共闘の能力を持つカードを手に入れた」「2人で敵に向かう共闘モードが面白い」などがあります。
共闘の読み方
共闘の読み方は「きょうとう」です。誤って、「ともとう」などと読まないようにしましょう。
共闘は「共同闘争」の省略語
共闘とは、複数の組織が同じ目的のために争うことを意味します。「共同闘争」の略語であり、「共に闘争すること」です。「闘争」は権利や要求を獲得するために争うことであり、社会運動や労働運動などに使われています。昨今では、複数人でゲームをすすめることにも用いられている言葉です。
「全学共闘会議」の意味
共闘を用いた日本語には「全学共闘会議」があります。1960年代の後半に、全国で起こった大学紛争の主体となった学生組織のことです。大学内で生じたさまざまな課題をめぐって、学部やセクトを超える形で構成されました。「全共闘」と略されています。
共闘の対義語
共闘の対義語・反対語としては、支援する者がないなか一人で懸命に戦うことを意味する「孤軍奮闘」、たった一人でいて誰も助けてくれる人がいないこと「孤立無援」、相手を敵とみなして対抗することを意味する「敵対」、矛盾する二つのものが争うことを意味する「相克」などがあります。
共闘の類語
共闘の類語・類義語としては、大勢の人々が目的を達成するために協力しあうことを意味する「一致団結」、組織などがしっかりとまとまっていることを意味する「一枚岩」、一つにまとまり集まることを意味する「結集」などがあります。
共同戦線の例文
この言葉がよく使われる場面としては、さしあたり共通の目的を追求するために、複数の団体が協力体制をつくることを表現したい時などが挙げられます。
共同戦線は、「共同戦線を張る」という言い回しで使われることが多い言葉ですが、例文2や例文5のように「共同戦線を組む」と表現することもあります。「組む」とは、同じ目的で何かをするために仲間になることです。
共闘の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 二つ以上の団体が共通の目的を達成するために、共同で行なう闘争を表現したい時などが挙げられます。
例文1の「野党共闘」とは、与党に対抗するために、野党が結束して協力することを意味します。特に、選挙時に各野党が政策を超えて結束することを指します。例文4や例文5のように、共闘という言葉はゲームに関しても使われ、他のプレイヤーとともにゲームを進めることを表します。
共同戦線と共闘という言葉は、どちらも「複数の人や組織が結束すること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人や組織が結束している体制を表現したい時は「共同戦線」を、人や組織が結束する状況を表現したい時は「共闘」を使うようにしましょう。