似た意味を持つ「度し難い」(読み方:どしがたい)と「始末に負えない」(読み方:しまつにおえない)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「度し難い」と「始末に負えない」という言葉は、どちらもどうしようもないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「度し難い」と「始末に負えない」の違い
「度し難い」と「始末に負えない」の意味の違い
「度し難い」と「始末に負えない」の違いを分かりやすく言うと、「度し難い」とは人の悪い性質にのみ使う、「始末に負えない」は仕事や勉強などの人の悪い性質以外でも使えるという違いです。
「度し難い」と「始末に負えない」の使い方の違い
一つ目の「度し難い」を使った分かりやすい例としては、「上司の指示を聞かない社員は度し難い」「彼は度し難い分からずやです」「父は度し難い人なので意見するのを辞めることにしました」「彼女は度し難いので別れることにしました」「彼女は度し難い頑固者です」などがあります。
二つ目の「始末に負えない」を使った分かりやすい例としては、「一番下の弟は三人兄弟の中でも始末に負えないやんちゃ坊主です」「彼女はお酒を飲むと始末に負えなくなる」「彼は注意すると逆ギレするので始末に負えない」「この問題は私の始末に負えない」などがあります。
「度し難い」と「始末に負えない」の使い分け方
「度し難い」と「始末に負えない」はどちらもどうしようもないことを意味しており大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「度し難い」は人の悪い性質にのみ使うのに対して、「始末に負えない」は仕事や勉強などの人の悪い性質以外でも使えるという点です。
また、人の悪い性質に対してはどちらもでも使えるので、お互いに置き換えることが可能となっています。
「度し難い」と「始末に負えない」の英語表記の違い
「度し難い」を英語にすると「impossibly」「incorrigible」となり、例えば上記の「彼女は度し難い頑固者です」を英語にすると「She’s impossibly stubborn」となります。
一方、「始末に負えない」を英語にすると「difficult to deal with」「beyond me」となり、例えば上記の「この問題は私の始末に負えない」を英語にすると「This problem is too difficult for me to deal with」となります。
「度し難い」の意味
「度し難い」とは
「度し難い」とは、救済することができないことを意味しています。
「度し難い」の読み方
「度し難い」の読み方は「どしがたい」です。誤って「たびしがたい」などと読まないようにしましょう。
「度し難い」の使い方
「度し難い」を使った分かりやすい例としては、「監督の言う事を聞かない選手は度し難い」「彼のような度し難い分からずやにはなりたくありません」「この部署には度し難いことをする人がたくさんいるので困っている」などがあります。
「度し難い」は救済することができないことを意味する言葉で、道理を言い聞かせても聞き入れてくれなかったり、理解してくれない人に対して使います。したがって、マイナスなイメージで使われている言葉です。
例えば、何回注意しても遅刻し続ける社員に対して、もう救済することができないという意味で、「彼は度し難い」などと使います。
「度し難い」の語源
「度し難い」の語源は「済度し難い」の「済」が省略されたことです。
済度とは仏教用語で、仏が迷い苦しんでいる人々を救って悟りの境地に導くことを意味しています。これに、することがむずかしいことを意味する「し難い」が合わさり、救済することができないことの意味で使われるようになりました。
ことわざ「縁なき衆生は度し難し」の意味
「度し難い」は使った有名なことわざとして、「縁なき衆生は度し難し」があります。「縁なき衆生は度し難し」とは、仏縁のない者はすべてに慈悲を垂れる仏でも救えないことが転じて、人の忠告を聞こうともしない者は救いようがないことの意味で使われている言葉です。
「度し難い」の類語
「度し難い」の類語・類義語としては、取り扱い方や処置に困ることを意味する「持て余す」、他人の手助けが必要で手数がかかることを意味する「世話が焼ける」、手間がかかって煩わしいことを意味する「面倒」などがあります。
「始末に負えない」の意味
「始末に負えない」とは
「始末に負えない」とは、どうしようもないことや手に負えないことを意味しています。
表現方法は「始末に負えない人」「始末に負えません」
「始末に負えない人」「始末に負えません」などが「始末に負えない」を使った一般的な言い回しになります。
「始末に負えない」の使い方
「始末に負えない」を使った分かりやすい例としては、「彼は始末に負えないいたずらっこです」「いくら注意しても改善が見られず始末に負えません」「世の中には始末に負えない人がたくさんいる」「自分が何でもできると思っている人ほど始末に負えないもんだ」などがあります。
「始末に負えない」は物事の締めくくりをつけることを意味する「始末」に、引き受けることを意味する「負う」の否定形である「負えない」が合わさり、どうしようもないこと、処理できないこと、手に負えないことの意味で使われている慣用句です。
「始末に負えない」は人や動物だけではなく、仕事や勉強などの物事に対しても使うことができます。例えば、「この仕事は始末に負えない」とすると、この仕事は処理するのが難しいという意味になります。
また、「始末に負えない」は基本的にマイナスなイメージで使う言葉と覚えておきましょう。
「始末に負えない」の類語
「始末に負えない」の類語・類義語としては、物事が自分の能力以上でその処置ができないことを意味する「手に余る」、他人の手助けが必要で手数がかかることを意味する「手を焼く」、どうにもしようがないことを意味する「お手上げ」などがあります。
「度し難い」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、救済することができないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「度し難い」はマイナスなイメージで使われている言葉です。
「始末に負えない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、どうしようもないことや手に負えないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「度し難い」はマイナスなイメージで使われている言葉です。
「度し難い」と「始末に負えない」はどちらもどうしようもないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人の悪い性質にのみ使うのが「度し難い」、仕事や勉強などの人の悪い性質以外でも使えるのが「始末に負えない」と覚えておきましょう。