似た意味を持つ「逆鱗に触れる」(読み方:げきりんにふれる)と「地雷を踏む」(読み方:じらいをふむ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「逆鱗に触れる」と「地雷を踏む」という言葉は、どちらも怒らせることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「逆鱗に触れる」と「地雷を踏む」の違い
「逆鱗に触れる」と「地雷を踏む」の意味の違い
「逆鱗に触れる」と「地雷を踏む」の違いを分かりやすく言うと、「逆鱗に触れる」とは目上の人を激しく怒らせること、「地雷を踏む」とは触れてはいけないものに触れて相手を怒らせることという違いです。
「逆鱗に触れる」と「地雷を踏む」の使い方の違い
一つ目の「逆鱗に触れる」を使った分かりやすい例としては、「授業中に漫画を読んでいたことがバレて先生の逆鱗に触れる」「仕事中同じミスを何度も繰り返していたので上司の逆鱗に触れる」などがあります。
二つ目の「地雷を踏む」を使った分かりやすい例としては、「どうやら彼女の地雷を踏んでしまったらしい」「彼はデリカシーがないので地雷を踏むことが多いです」「わざわざ彼女の地雷を踏む必要もないだろう」などがあります。
「逆鱗に触れる」と「地雷を踏む」の使い分け方
「逆鱗に触れる」と「地雷を踏む」はどちらも怒らせることを表す言葉ですが、意味は少し異なっているので間違えないように注意しましょう。
「逆鱗に触れる」は「私の不注意のせいで上司の逆鱗に触れてしまいました」「プロサッカー選手とは思えない行動をとったせいで監督の逆鱗に触れる」などのように、目上の人を激しく怒らせることの意味で使う言葉です。
一方、「地雷を踏む」は「彼の地雷を踏んでしまったらしい」「容姿についての話をしたら彼女の地雷を踏んでしまった」などのように、触れてはいけないものに触れて相手を怒らせることの意味で使う言葉になります。
「逆鱗に触れる」と「地雷を踏む」の英語表記の違い
「逆鱗に触れる」も「地雷を踏む」も英語にすると「push someone’s buttons」「piss someone off」となり、例えば上記の「上司の逆鱗に触れる」を英語にすると「I pushed boss buttons」となります。
「逆鱗に触れる」の意味
「逆鱗に触れる」とは
「逆鱗に触れる」とは、目上の人を激しく怒らせることを意味しています。
「逆鱗に触れる」の読み方
「逆鱗に触れる」の読み方は「げきりんにふれる」です。誤って「ぎゃくりんにふれる」などと読まないようにしましょう。
「逆鱗に触れる」の使い方
「逆鱗に触れる」を使った分かりやすい例としては、「部活の練習をサボったことがバレて上司の逆鱗に触れる」「試験の結果が両親の逆鱗に触れゲーム機を没収されました」「偉そうなことを言ったので先輩の逆鱗に触れてしまった」などがあります。
「逆鱗に触れる」の特徴は目上の人に対してのみ使えるという点です。そのため、目下や立場が同等の人には使うことはできません。ただ単純に怒らせて場合に使うのではなく、目上の人を激しく怒らせた場合に使う言葉と覚えておきましょう。
「逆鱗に触れる」の由来
「逆鱗に触れる」は元々、天子の怒りに触れることの意味で使われている言葉でした。天子とは君主や帝などの身分の高い人のことを意味していますが、現代ではほとんど使われていません。これが転じて、現代では目上の人を激しく怒らせることを、「逆鱗に触れる」と言うようになりました。
また、「逆鱗に触れる」の由来は中国の思想家韓非が書いた『韓非子』(読み方:かんぴし)です。『韓非子』の中に、伝説の動物である竜は、普段は非常に穏やかな性格で、人間も背中に乗ることができました。
しかし、竜の顎のの下には1枚の逆さに生えた鱗、つまり逆鱗があります。普段は非常に穏やかな性格の竜ですが、この逆鱗を触れられると激怒し、触れた者を殺すほど激昂するという伝説があります。
また、竜は伝説的な存在のため、人に置き換えると天子に当たります。これらが転じて、目上の人を激しく怒らせることを「逆鱗に触れる」と言うようになりました。
「逆鱗に触れる」の類語
「逆鱗に触れる」の類語・類義語としては、反発や反抗の感情を相手に抱かせることを意味する「反感を買う」、相手をイライラさせることを意味する「苛立たせる」、相手を不機嫌にさせることを意味する「不興を買う」などがあります。
「地雷を踏む」の意味
「地雷を踏む」とは
「地雷を踏む」とは、触れてはいけないものに触れて相手を怒らせることを意味しています。
「地雷を踏む」の使い方
「地雷を踏む」を使った分かりやすい例としては、「精神が病んでる人の地雷を踏むと大変なことになります」「うっかり彼女の地雷を踏むところだった、危ない危ない」「過去の容姿のことを話題にしたら彼女の地雷を踏んでしまったらしい」などがあります。
「地雷を踏む」は地中に埋めておき人や戦車などがそれを踏むと爆発する仕組みの爆弾のことを意味する「地雷」を直接踏むのではなく、相手が触れてほしくなかった過去の出来事や容姿などのコンプレックスに触れて相手を怒らせることを意味する言葉です。
「地雷を踏む」はネットスラングや若者言葉でもある
また、「地雷を踏む」は主にネットスラングや若者言葉として使われています。ネットスラングとはインターネットスラングの略で、インターネット上のBBSやSNSなどで発生し、使用される俗語のことです。
分かりやすいネットスラングを挙げると「ググる」「ワンチャン」「リア充」「してもろて」「今北産業」「しか勝たん」「勝ち確」「ディスる」「メシウマ」「マジレス」「オワコン」「おこ」「あざとい」「陰キャ」などがあります。
「地雷を踏む」の類語
「地雷を踏む」の類語・類義語としては、気に入らないで腹立たしく思うことを意味する「癇に障る」、配慮に欠いた言動で相手を不快にさせることを意味する「神経を逆なでする」などがあります。
「逆鱗に触れる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目上の人を激しく怒らせることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「逆鱗に触れる」は目上の人に対してのみ使える言葉です。
「地雷を踏む」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、触れてはいけないものに触れて相手を怒らせることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「地雷を踏む」は他人を怒らせてしまった時に使う言葉です。
「逆鱗に触れる」と「地雷を踏む」はどちらも相手を怒らせることを表していますが、意味は少し異なっています。目上の人を激しく怒らせることを表現したい時は「逆鱗に触れる」を、触れてはいけないものに触れて相手を怒らせることを表現したい時は「地雷を踏む」を使うと覚えておきましょう。