似た意味を持つ「風前の灯火」(読み方:ふうぜんのともしび)と「風の前の塵」(読み方:かぜのまえのちり)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「風前の灯火」と「風の前の塵」という言葉は、どちらも危険が迫っていることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「風前の灯火」と「風の前の塵」の違い
「風前の灯火」と「風の前の塵」の意味の違い
「風前の灯火」と「風の前の塵」の違いを分かりやすく言うと、「風前の灯火」は一般的に使われている、「風の前の塵」は一般的に使われていないという違いです。
「風前の灯火」と「風の前の塵」の使い方の違い
一つ目の「風前の灯火」を使った分かりやすい例としては、「この組織の存立は今や風前の灯火です」「過去の不正が明らかになり彼の政治生命は風前の灯火だ」「愛犬が重い病気にかかってしまい風前の灯火です」などがあります。
二つ目の「風の前の塵」を使った分かりやすい例としては、「私が病院に着いた頃には彼の命は風の前の塵でした」「横領していたことがバレてしまい彼の地位は風の前の塵だ」「あの企業は風の前の塵だ」などがあります。
「風前の灯火」と「風の前の塵」の使い分け方
「風前の灯火」と「風の前の塵」はどちらも危険が迫っていることを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「風前の灯火」は一般的に使われているのに対して、「風の前の塵」は一般的に使われていないという点です。
「風前の灯火」と「風の前の塵」の英語表記の違い
「風前の灯火」も「風の前の塵」も英語にすると「Be on the verge of」となり、例えば上記の「あの企業は風の前の塵だ」を英語にすると「That company is on the verge of going bankrupt」となります。
「風前の灯火」の意味
「風前の灯火」とは
「風前の灯火」とは、危険が迫っていて今にも滅びそうなことを意味しています。
「風前の灯火」の読み方
「風前の灯火」の読み方は「ふうぜんのともしび」です。誤って「ふうぜんのとうか」「ふうぜんのあかりび」などと読まないようにしましょう。
「風前の灯火」の使い方
「風前の灯火」を使った分かりやすい例としては、「僕が病院い着いた頃には彼女は風前の灯火でした」「社内不倫したことが公になり彼の地位は風前の灯火です」「風前の灯火だった弊社だがとある商品が大ヒットし持ち直しました」などがあります。
「風前の灯火」は風のあたる所や風の真正面のことを意味する「風前」に、ともした火や灯のことを意味する「灯火」が合わさり、風の吹くところにある灯を表しています。
風の吹くところにある灯は今に消えそうな状態なのでこれを例えて、危険が迫っていて今にも滅びそうなことを「風前の灯火」と言うようになりました。
「風前の灯火」は何かあればすぐ滅びてしまうような、危機的状況にある場合に使う言葉です。
また、上記の「僕が病院い着いた頃には彼女は風前の灯火でした」のように人に対してだけではなく、「風前の灯火だった弊社だがとある商品が大ヒットし持ち直しました」のように物や物事に対しても使うことができます。
「風前の灯火」の類語
「風前の灯火」の類語・類義語としては、どうにも逃れようのない差し迫った状態や立場にあることを意味する「絶対絶命」、死にかかっていることを意味する「瀕死」、病気や負傷の程度がひどくて生命に危険があることを意味する「重体」などがあります。
「風の前の塵」の意味
「風の前の塵」とは
「風の前の塵」とは、物事のはかないことや危険が迫っていることを意味しています。
「風の前の塵」は別の言い方として、「風前の塵」と言うことも可能です。
「風の前の塵」の使い方
「風の前の塵」を使った分かりやすい例としては、「ここ数年赤字続きで、弊社の経営は風の前の塵です」「この計画はもはや風の前の塵だ」「周りが敵しかおらず、我が軍は風の前の塵です」「私の命が風の前の塵ならば、最後は悔いのないように過ごしたいです」などがあります。
「風の前の塵」の由来
「風の前の塵」の由来は『平家物語』になります。『平家物語』とは鎌倉時代の軍記物語のことです。その中に「偏に風の前の塵に同じ」という一文があり、抗うこともできずに飛ばされてしまう運命のことを「風の前の塵」に例えています。
したがって、「風の前の塵」は物事がはかないことや危険が迫っていることを表現したい時に使う言葉です。
「風の前の塵」の類語
「風の前の塵」の類語・類義語としては、死が迫っていることを意味する「釜中の魚」(読み方:ふちゅうのうお)、はかないことを意味する「風口の蝋燭」(読み方:かざくちのろうそく)などがあります。
「風前の灯火」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、危険が迫っていて今にも滅びそうなことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「風前の灯火」は人と物どちらに対しても使える言葉になります。
「風の前の塵」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事のはかないことや危険が迫っていることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「風の前の塵」は人と物どちらに対しても使える言葉になります。
「風前の灯火」と「風の前の塵」はどちらも危険が迫っていることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に使われているのが「風前の灯火」、一般的に使われていないのが「風の前の塵」と覚えておきましょう。