似た意味を持つ「瑕疵」(読み方:かし)と「疵瑕」(読み方:しか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「瑕疵」と「疵瑕」という言葉は、どちらも欠点を表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
瑕疵と疵瑕の違い
瑕疵と疵瑕の意味の違い
瑕疵と疵瑕の違いを分かりやすく言うと、瑕疵は表面的なキズを表現する時に使い、疵瑕は内面的な不可視のキズを表現する時に使うという違いです。
瑕疵と疵瑕の使い方の違い
一つ目の瑕疵を使った分かりやすい例としては、「その製品の瑕疵が認められた場合は返品交換をさせて頂きます」「住宅の瑕疵部分を見つけたため写真に収めた」「環境的に瑕疵となり得る要素があるのであれば加味して考えるべきだ」などがあります。
二つ目の疵瑕を使った分かりやすい例としては、「性格に疵瑕を抱えているか否かを探るような言動はやめるべきだ」「彼の疵瑕に関しては目も当てられない」「疵瑕と言えるほどの状態にはなっていない」などがあります。
瑕疵と疵瑕の使い分け方
瑕疵と疵瑕はどちらの言葉も欠点やきずを表す言葉で、使い方や意味に大きな違いはありません。
瑕疵の瑕という漢字は、物品が壊れて損なわれている箇所を意味します。先にこの漢字が使われて強調されていることから、瑕疵は「住宅の瑕疵部分」などのように物品や法律など表面的なキズに対して使われています。
一方の疵瑕は、疵という漢字が病気や悪口を言うことを意味するため、人間の内側にあるような目に見えないキズに対して使われることが多い言葉です。
したがって、意味はどちらも同じで使われ方も同じですが、あえて違いを挙げるのであれば、瑕疵は物品のきずや法律用語としての欠点を意味し、疵瑕はその人の不運さなどの不足分を意味する言葉として区別されることがあります。
瑕疵と疵瑕の英語表記の違い
瑕疵も疵瑕も英語にすると「defect」となり、例えば上記の「製品の瑕疵」を英語にすると「defects on product」となり、例えば上記の「疵瑕を抱えている」を英語にすると「have a defect」となります。
瑕疵の意味
瑕疵とは
瑕疵とは、欠点や欠陥を意味しています。
表現方法は「瑕疵がない」「瑕疵を認める」「瑕疵を帯びる」
「瑕疵がない」「瑕疵を認める」「瑕疵を帯びる」などが、瑕疵を使った一般的な言い回しです。
瑕疵の使い方
瑕疵を使った分かりやすい例としては、「証明問題の答えに瑕疵がなかったため点数を貰った」「多少の瑕疵であれば本として出版しても文献を残し広める良い手段と言える」「瑕疵を知っていたのに教えてくれなかったら法律違反だ」などがあります。
その他にも、「瑕疵担保責任の瑕疵は契約に対して適合しないものという表現に変えられた」「瑕疵が認められない限りは返品交換は不可と記載があった」「瑕疵物件はいわゆる事故物件、訳アリ物件と呼ばれている」などがあります。
「瑕疵担保責任」の意味
上記例文の「瑕疵担保責任」とは、システムやその他商品を引き渡した後に発見された瑕疵に対応する責任を指す言葉です。2017年に民法が改正されたことで、瑕疵担保責任ではなく、契約不適合責任と呼ばれるようになりました。
また、法改正により、商品の引き渡しから一年以内に請求しなければならなかったのが、引き渡しから十年以内かつ瑕疵が認められた時から一年以内と変更されました。
このように、瑕疵という言葉は法律用語として使われることが多い言葉で、日常会話においてはほとんど使われていません。
瑕疵の対義語
瑕疵の対義語・反対語としては、欠けたところや足りないところが全くないことを意味する「完全」、非難するべきところがないことを意味する「満点」、少しも欠けたところがないことを意味する「十全」があります。
瑕疵の類語
瑕疵の類語・類義語としては、状態や調子が良くないことを意味する「不具合」、不名誉な点を意味する「汚点」、必要なものが完全には揃っていないことを意味する「不備」、身近なものであっても気が付かない事柄を意味する「死角」などがあります。
疵瑕の意味
疵瑕とは
疵瑕とは、欠点や過ちを意味しています。
疵瑕の読み方
疵瑕は「しか」という読み方をしますが、「しが」という読み方をすることもあります。
疵瑕の使い方
疵瑕を使った分かりやすい例としては、「彼女にとってただ一つの疵瑕だった」「誰かの疵瑕を笑いものにするような人は苦手だ」「疵瑕を有していても自分ではなかなか気が付かない」「一斉教授にも疵瑕部分は存在する」などがあります。
一方、「この主人公に起きた疵瑕に対する感情を言語化できない」「疵瑕を嘆くことしか今はできない」「他者の疵瑕を知ったとしてわざわざ口外することはしない」などの文中で使われている疵瑕は、「不運や弱み」の意味で使われています。
疵と瑕のどちらの漢字もきずを意味しますが、先に使われている疵という漢字は病気や悪口を言うことを意味するため、人間の身に起きるような感情のきずなどに対して使われることが多い言葉です。
ただし、疵瑕という言葉自体がどの場面でもほとんど使われておらず、特に上記例文の不運や弱みを表すような使い方は意味さえ記載されていない辞書もいくつかあります。
疵瑕の対義語
疵瑕の対義語・反対語としては、欠点が全くないことを意味する「完璧」、足りないところがないことを意味する「無欠」があります。
疵瑕の類語
疵瑕の類語・類義語としては、非難するべきところを意味する「難点」、劣っているところを意味する「短所」、後ろ暗いところを意味する「弱点」、打たれると泣くほど痛く感じる弱みを意味する「泣き所」などがあります。
瑕疵の例文
この言葉がよく使われる場面としては、欠点や欠陥などが挙げられます。
上記例文のように、商品やシステムなどの欠点に対して使われており、法律用語としても使われています。
疵瑕の例文
この言葉がよく使われる場面としては、欠点や過ちなどが挙げられます。
上記例文のように、特に人間の性格に関する難を表すことが多い言葉ですが、例文5のように不幸、不運や辛さを表す言葉として使われることもあります。
瑕疵と疵瑕は、どちらも「欠点やきず」を表し、使い方もほとんど同じです。どちらを使うか迷った場合は、表面的なキズや法律用語としての欠点を表す場合は「瑕疵」を、内面的な不可視のキズを表す場合は「疵瑕」を使うと覚えておけば間違いありません。