似た読み方を持つ「屈辱」(読み方:くつじょく)と「雪辱」(読み方:せつじょく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「屈辱」と「雪辱」という言葉は、読み方は似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
屈辱と雪辱の違い
屈辱と雪辱の意味の違い
屈辱と雪辱の違いを分かりやすく言うと、屈辱とは恥ずかしい思いをすること、雪辱とは屈辱を受けた相手に勝って名誉を取り戻すことという違いです。
屈辱と雪辱の使い方の違い
一つ目の屈辱を使った分かりやすい例としては、「屈辱をバネに大躍進した」「彼に負けるだなんて屈辱である」「三年前の屈辱を晴らす」「途中交代させられる屈辱を味わう」「屈辱を糧に終盤戦で活躍した」などがあります。
二つ目の雪辱を使った分かりやすい例としては、「永遠のライバルへの雪辱を誓う」「二年前の雪辱を果たして悲願の初優勝をした」「雪辱を期するためのステージへ上がった」「雪辱戦に前向きで臨んだ」などがあります。
屈辱と雪辱は対義語・反対語です。スポーツの試合で負けた際に、「この試合に負けて屈辱を味わった」を使います。それに対して、一度負けて屈辱を受けた相手に、勝って名誉を取り戻した際に「この試合で雪辱を果たした」を使います。
「屈辱を晴らす」と「雪辱を果たす」の違い
屈辱と雪辱を使った有名な言葉として、「屈辱を晴らす」と「雪辱を果たす」があります。「屈辱を晴らす」は以前受けた屈辱を晴らすという意味で使い、「雪辱を果たす」は勝負ごとにおいて名誉を取り戻すことを成し遂げたという意味で使います。
「屈辱を果たす」と「雪辱を晴らす」は誤字
屈辱と雪辱の部分を入れ替えた、「屈辱を果たす」や「雪辱を晴らす」という間違った使い方をしている人が多い印象を受けます。意味が違ってきてしまうため、間違って使わないように気を付けてください。
屈辱と雪辱の英語表記の違い
屈辱を英語にすると「Humiliation」となり、例えば上記の「屈辱を晴らす」を英語にすると「Clear humiliation」となります。一方、雪辱を英語にすると「revenge」となり、例えば上記の「雪辱を誓う」を英語にすると「I swear revenge」となります。
屈辱の意味
屈辱とは
屈辱とは、屈服させられて恥ずかしい思いをすることを意味しています。
表現方法は「屈辱を受ける」「屈辱を味わう」「屈辱にまみれる」
「屈辱を受ける」「屈辱を味わう」「屈辱にまみれる」などが、屈辱を使った一般的な言い回しです。
屈辱の使い方
屈辱を使った分かりやすい例としては、「大学野球リーグで最下位という屈辱を味わった」「スタメン選手の中で最低評価の屈辱を受けた」「屈辱を糧に練習に取り組んだ」「昨年の屈辱を晴らした」「敗北の屈辱を乗り越えた」などがあります。
その他にも、「屈辱を力に変えて世界大会の連覇を目指す」「あらゆることに屈辱を感じてしまう」「人生で一番の屈辱を味わった」「甘んじて屈辱を受けた」「試合前に屈辱を経験した」「完封負けはチームにとって屈辱的だ」などがあります。
屈辱という言葉は、日常生活でもビジネスシーンでも頻繁に目にするはずです。日常生活では、上記の「大学野球リーグで最下位という屈辱を味わった」のように、スポーツの試合で惨敗した時に使うことが多いです。
また、ビジネシーンでは「上司から屈辱的な仕打ちを受けた」や「プレゼンで大失敗をして屈辱を味わった」など目上の立場の人からの仕打ちや失敗で恥ずかしい思いをした時に使います。
屈辱という言葉は基本的に良いイメージはありません。ただし、「屈辱をバネに猛練習をした」など、屈辱を経験したことによってプラスな方向に向かうことも多いです。
屈辱の対義語
屈辱の対義語・反対語としては、業績や行動を褒められたりして名誉に思うことを意味する「光栄」、能力や行動について、良い評価を得ていることを意味する「名誉」、輝かしい誉れを意味する「栄誉」などがあります。
屈辱の類語
屈辱の類語・類義語としては、体面や名誉などが傷つくことを意味する「恥辱」(読み方:ちじょく)、不名誉な評判を意味する「汚名」、相手を見下して名誉を傷つけることを意味する「侮辱」、地位や名誉を傷つけられ辱めを受けることを意味する「汚辱」などがあります。
屈辱の屈の字を使った別の言葉としては、相手の力を恐れて言いなりになることを意味する「屈従」、相手の強さや勢いに負けて従うことを意味する「屈服」、屈服することを意味する「屈撓」(読み方:くっとう)などがあります。
雪辱の意味
雪辱とは
雪辱とは、競技で負けたことのある相手に勝って名誉を取り戻すことを意味しています。
表現方法は「雪辱を誓う」「雪辱を期す」「雪辱なるか」
「雪辱を誓う」「雪辱を期す」「雪辱なるか」などが、雪辱を使った一般的な表現方法です。
雪辱の使い方
雪辱を使った分かりやすい例としては、「雪辱を遂げることが出来た」「昨年の雪辱を果たせなかった」「今回のミスを反省し雪辱を誓う」「準々決勝でアメリカとの雪辱戦に臨んだ」「前回大会の雪辱を果たし見事優勝した」などがあります。
その他にも、「昨年の雪辱をかけて今年の全国ツアーに挑んだ」「〇〇選手、昨年の雪辱なるか」「日本にとって雪辱を懸けた舞台になる」「次の試合で雪辱を期す」「雪辱を期して挑んだ」「気持ちが伝わってくる素晴らしい雪辱戦だった」などがあります。
雪辱という言葉はスポーツ界隈で非常に多く使われる言葉です。スポーツニュースなどで、上記の「前回大会の雪辱を果たし見事優勝した」などは、一度は見かけたことのあるフレーズなはずです。敗北という屈辱を受けた相手に対して、もう一度戦い勝った時に使います。
雪辱の由来
雪辱の由来は、「雪」と「辱」という二つの漢字から成り立っています。「雪」には洗い清めるという意味があり、「辱」には辱めるという意味があります。雪辱は辱めを洗い清めるという意味から成り立ちました。
雪辱の類語
雪辱の類語・類義語としては、すぐ仕返しをすることを意味する「竹篦返し」(読み方:しっぺいがえし)、主君や親兄弟を倒した者を討ち取ることを意味する「仇討ち」、人がしてくれたことに対して報いることを意味する「返報」などがあります。
雪辱の雪の字を使った別の言葉としては、無実の罪であることを証明することを意味する「雪冤」(読み方:せつえん)などがあります。
屈辱の例文
この言葉がよく使われる場面としては、屈服させられて恥ずかしい思いをしたことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2のように「屈辱を味わう」や「屈辱を晴らす」という言葉で表現することがとても多いです。また、ビジネスシーンや日常会話の両方で使うため馴染みのある言葉でしょう。
雪辱の例文
この言葉がよく使われる場面としては、勝負事の世界で負けたことのある相手に勝って名誉を取り戻すことを表現したい時などが挙げられます。
例文1、例文3、例文5のように「雪辱を果たす」「雪辱を誓った」「雪辱を期す」という言葉で表現することは非常に多いです。ただし、「雪辱を晴らす」という言葉は間違っているので使わないようにしましょう。
また雪辱は英語で「revenge」(読み方:リベンジ)と言いますが、日常生活においては、「雪辱」より「リベンジ」という言葉で使う人が多いはずです。