似た意味を持つ「二面性」(読み方:にめんせい)と「二重人格」(読み方:にじゅうじんかく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「二面性」と「二重人格」という言葉は、どちらも性格や態度が変わる様子を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
二面性と二重人格の違い
二面性と二重人格の意味の違い
二面性と二重人格の違いを分かりやすく言うと、二面性とは人間や物事が持つ相反する二つの性質を表し、二重人格とは一人の人間が二つの人格を持つことを表すという違いです。
二面性と二重人格の使い方の違い
一つ目の二面性を使った分かりやすい例としては、「自分の二面性をさらけ出すようなことはしたくない」「自己愛には誇大型と過敏型の二面性があります」「職場の二面性がある人との付き合い方に悩んでいます」などがあります。
二つ目の二重人格を使った分かりやすい例としては、「二重人格の人との付き合い方が分かりません」「二重人格の特徴を知って上手く対処したい」「いじめが原因で二重人格になることもあります」などがあります。
二面性と二重人格の使い分け方
二面性と二重人格という言葉は、どちらも態度ががらりと変わるさまを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
二面性とは、互いに異質な側面を持っているさまを意味します。例えば「優しさと厳しさ」「メリットとデメリット」のように、相反するような要素を持ち合わせている様子を表します。二面性は人に対して使うことも、物事に対して使うこともできる言葉です。
二重人格とは、人格の障害の一種であり、一人の人間が二つの人格を持つことを意味します。転じて、相手や場面によって全く別人のように行動すること、そのような裏表のある性格の人のことを指すこともあります。
つまり、二面性は相反する二つの特徴や性格を表し、二重人格は一人の人間が二つの人格を持っていることを表します。また、二面性は人だけでなく物事の性質も表しますが、二重人格は人間に対してのみ使う言葉です。これらが、二面性と二重人格という言葉の明確な違いになります。
二面性と二重人格の英語表記の違い
二面性を英語にすると「two sides」「bilateral character」「two faces」となり、例えば上記の「二面性をさらけ出す」を英語にすると「reveal one’s two faces」となります。
一方、二重人格を英語にすると「dual personality」「alternating personality」となり、例えば上記の「二重人格の人」を英語にすると「a person who has a dual personality」となります。
二面性の意味
二面性とは
二面性とは、裏表のような互いに異質な側面をどちらも内包しているさまを意味しています。
表現方法は「二面性がある」「二面性を持つ」
「二面性がある」「二面性を持つ」などが、二面性を使った一般的な言い回しです。
二面性の使い方
二面性を使った分かりやすい例としては、「あの英語教師は優しさと厳しさの二面性がある」「心理テストであなたの二面性の強さを診断します」「二面性がある人には気をつけた方がいいよ」「幼児心理学で子どもの二面性を研究しています」などがあります。
その他にも、「息子は学校と家とで態度が違う二面性をもつ」「二面性のあるキャラクターは魅力的だと思います」「カラスウリの花言葉は二面性です」「物事には二面性があるのだから短所を聞かれたらポジティブに言い換えよう」などがあります。
二面性の「二面」は、物事などの二つの側面や表裏のある心を表します。物事の性質や傾向を表す接尾語の「性」と結びつき、二面性とは、裏表のような互いに異質な側面をどちらも内部にもっていることを意味する言葉です。
二面性という言葉は、人の性格や物事の性質を表す時に用いられています。人の性格や性質を表す場合は、人の前で表と裏の顔を使い分けるニュアンスがあり、ネガティブな意味で使われることが多くあります。一方、物事の性質を表す場合は、正反対の性質を持っていることを表現する言葉です。
二面性の対義語
二面性の対義語・反対語としては、邪心がなく清らかなことを意味する「純真」、心中にわだかまりがなく清らかに澄みきっているさまを意味する「八面玲瓏」などがあります。
二面性の類語
二面性の類語・類義語としては、人の見ている所と見ていない所とで言動が変わることを意味する「かげひなた」、心に何か悪だくみをもっていることや陰険で意地が悪いことを意味する「腹黒い」、だれに対しても如才なく振る舞うことを意味する「八方美人」などがあります。
二重人格の意味
二重人格とは
二重人格とは、一人の人間の中に二つの全く異なる人格が交代して現れることを意味しています。
二重人格の使い方
二重人格を使った分かりやすい例としては、「心の病気から二重人格になることがあります」「二重人格の有名人は意外と多いですよ」「二重人格で人が入れ替わると顔が変わるらしい」「会話を全く覚えていない彼女は二重人格なのだろうか」などがあります。
その他にも、「裏表がある二重人格タイプか診断してみましょう」「英語を話す時は人が変わったようになり二重人格みたいだ」「ふとしたきっかけで性格がガラリと変わる二重人格キャラが好きです」などがあります。
二重人格とは、人格の障害の一種とされています。本来、人格は統一性が保たれているものですが、その統一性に障害をきたし、全く別の人格が交互に出現する状態を「二重人格」と言います。また、三つ以上の人格が現れる場合は多重人格と呼ばれています。
二重人格をテーマにした有名な小説には「ジキル博士とハイド氏」があります。医師のジキルは薬で悪の人格ハイドに変身し善悪二重の生活を送っていましたが、ついにジキルに戻れなくなって悲惨な結末を迎えるお話しです。
二重人格の対義語
二重人格の対義語・反対語としては、考え方が一面的で単純な人を意味する「単細胞」、捉え方などが一面的で浅いことを意味する「単純」、調子が同じで変化に乏しいことを意味する「一本調子」などがあります。
二重人格の類語
二重人格の類語・類義語としては、一人の中に相矛盾する複数の人格が存在するようにみえる状態を意味する「多重人格」、意識などが混乱し連続性がなくなる障害を意味する「解離性障害」、人の見ているところと見ていないところとで態度が違うことを意味する「裏表」などがあります。
二面性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、そのものがもつ相反する二つの特徴や性格を表現したい時などが挙げられます。
二面性という言葉は、例文1から例文4のように人の性格を表すことも、例文5のように物事の性質を表すこともあります。
二重人格の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人格の統一性に支障をきたし全く別の人格が交互に出現する状態を表現したい時などが挙げられます。
例文3や例文4にある二重人格と多重人格の違いは、一人の人間に存在する人格の数にあります。一人の中に明瞭に区別される2つの人格が存在するのが二重人格、3つ以上の人格が存在するのが多重人格です。
二面性と二重人格という言葉は、どちらも「性格や態度が変わるさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人間や物事の相反する二つの特徴を表現したい時は「二面性」を、一人の人間に二つの人格が存在することをを表現したい時は「二重人格」を使うようにしましょう。