似た意味を持つ「三つ巴」(読み方:みつどもえ)と「三すくみ」(読み方:さんすくみ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「三つ巴」と「三すくみ」という言葉は、どちらも三つのものが対立していることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「三つ巴」と「三すくみ」の違い
「三つ巴」と「三すくみ」の意味の違い
「三つ巴」と「三すくみ」の違いを分かりやすく言うと、「三つ巴」とは入り乱れて戦っていること、「三すくみ」とは戦いたくても戦えないことという違いです。
「三つ巴」と「三すくみ」の使い方の違い
一つ目の「三つ巴」を使った分かりやすい例としては、「今シーズンは三つ巴の争いをしているので観ている方も面白いです」「今年の総裁選は事実上三つ巴だろう」「三国は三つ巴の争いをしている」「巨人、阪神、ヤクルトの三つ巴の戦いだ」などがあります。
二つ目の「三すくみ」を使った分かりやすい例としては、「これらは三すくみの状態になっている」「三すくみが崩れたので争いが起こってしまいました」「槍兵、弓兵、騎兵は三すくみの関係です」などがあります。
「三つ巴」と「三すくみ」の使い分け方
「三つ巴」と「三すくみ」はどちらも三つのものが対立していることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「三つ巴」は三つのものが互いに対立して入り乱れることを意味しており、入り乱れて戦っている状況の場合に使います、一方、「三すくみ」は三者が互いに牽制し合ってそれぞれが自由に動けない状態のことを意味しており、戦いたくても戦えない状況の場合に使うというのが違いです。
したがって、「三つ巴」と「三すくみ」は似た意味を持つ言葉ですが、微妙に使い方が異なっているので間違えないように注意しましょう。
「三つ巴」と「三すくみ」の英語表記の違い
「三つ巴」を英語にすると「three-sided」「three-way」「three-cornered」となり、例えば上記の「巨人、阪神、ヤクルトの三つ巴の戦いだ」を英語にすると「It’s a three-sided contest between Yomiuri Giants,Hanshin Tigers,Yakult Swallows」となります。
一方、「三すくみ」を英語にすると「three-way deadlock」「three-way standoff」となり、例えば上記の「三すくみの状態になっている」を英語にすると「The three parties came to a deadlock, each unable to establish its superiority over the other two」となります。
「三つ巴」の意味
「三つ巴」とは
「三つ巴」とは、三つのものが互いに対立して入り乱れることを意味しています。その他にも、三人が向かい合って座ることや巴を三つ組み合わせて円形にした模様のことの意味も持っています。
「三つ巴」の読み方
「三つ巴」の読み方は「みつどもえ」です。誤って「みつともえ」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「三つ巴の戦い」「三つ巴の争い」「三つ巴の関係」
「三つ巴の戦い」「三つ巴の争い」「三つ巴の関係」などが、「三つ巴」を使った一般的な言い回しになります。
「三つ巴」の使い方
「彼らは三つ巴になって争っている」「三国は三つ巴の戦いを繰り広げている」などの文中で使われている「三つ巴」は、「三つのものが互いに対立して入り乱れること」の意味で使われています。
一方、「三つ巴の配置で座って待つことになった」「私の家紋は三つ巴です」などの文中で使われている「三つ巴」は、「三人が向かい合って座ることや巴を三つ組み合わせて円形にした模様のこと」の意味で使われています。
「三つ巴」の由来
「三つ巴」は平安時代後期の牛車の紋が由来のとても古い言葉です。公家である西園寺実季が、自分の牛車がひと目でわかるようにすることと、人魂を3つ組み合わせることで呪術的な効力を高めることを目的として、自家用の牛舎に「三つ巴」の紋を描きました。
それ以降、「三つ巴」の紋は諸家の印を表す文様として流行し、様々な家で使うようになりました。これが転じて、巴を三つ組み合わせて円形にした模様のことの意味で使われるようになったのです。
また、三つの同形の図が配置されていることから、三つのものが互いに対立して入り乱れることの意味でも使われるようになり、この意味が現代では一番使用されています。
「三つ巴」は三つのものの力が拮抗しており、お互いに対立している場合に使うというのが特徴です。したがって、入り乱れて戦っていることを表現したい時に使と覚えておきましょう。
また、実際に殴り合うだけ物理的な喧嘩だけではなく、ビジネスシーンでの競争であったり、スポーツシーンの優勝争いなどの争いごとに対しても使用することができます。
「三つ巴」の類語
「三つ巴」の類語・類義語としては、鼎の足のように三者が互いに対立することを意味する「鼎立」(読み方:ていりつ)、三人の有力政治家の結びつきによって行われる政治のことを意味する「三頭政治」などがあります。
「三すくみ」の意味
「三すくみ」とは
「三すくみ」とは、三者が互いに牽制し合ってそれぞれが自由に動けない状態のことを意味しています。
「三すくみ」の漢字表記
「三すくみ」を漢字にすると、「三竦み」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「三すくみ」を使うようにしましょう。
表現方法は「三すくみの関係」「三すくみの状態」
「三すくみの関係」「三すくみの状態」などが、「三すくみ」を使った一般的な言い回しになります。
「三すくみ」の使い方
「三すくみ」を使った分かりやすい例としては、「彼らは三すくみを保っているので膠着状態となっている」「三すくみの関係が続いてる間は戦争が起こることはないだろう」「王が失脚したことにより三すくみ関係が崩れようとしている」などがあります。
「三すくみ」の由来
「三すくみ」の由来は『関尹子』の三極からです。『関尹子』とは中国周代の道学者関尹子が書いた本です。その中にヘビはナメクジを恐れ、ナメクジはカエルを恐れ、カエルはヘビを恐れることを記した三極という故事があります。
例えば、ヘビがカエルを倒してしまうと、ナメジクは恐れているカエルがいなくなるのでヘビを倒すことができます。また、ナメクジがヘビを倒してしまうと、カエルは恐れているヘビがいなくなるのでナメクジを倒すことができます。
つまり、相手を倒すことで自分が倒されてしまうことが分かっているので、お互いに動くできない状態のことを「三すくみ」と言うようになりました。
「三すくみ」の類語
「三すくみ」の類語・類義語としては、力が釣り合っていて優劣のつけがたいことを意味する「伯仲」、二つまたはそれ以上の物事の間で力や重さなどの釣り合いがとれていることを意味する「均衡を保つ」などがあります。
「三つ巴」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、三つのものが互いに対立して入り乱れることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、三人が向かい合って座ることや巴を三つ組み合わせて円形にした模様のことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「三つ巴」は三つのものが互いに対立して入り乱れること、例文4の「三つ巴」は三人が向かい合って座ること、例文5の「三つ巴」は三つ組み合わせて円形にした模様のことの意味で使っています。
「三すくみ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、三者が互いに牽制し合ってそれぞれが自由に動けない状態のこと表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「三すくみ」は三つの者が互いに得意な相手と苦手な相手を一つずつ持つことで、三者とも身動きが取れなくなるような状態の場合に使う言葉です。
「三つ巴」と「三すくみ」はどちらも三つのものが対立していることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、入り乱れて戦っていることを表現したい時は「三つ巴」を、戦いたくても戦えないことを表現したい時は「三すくみ」を使うかと覚えておきましょう。