似た意味を持つ「もたらす」と「及ぼす」(読み方:およぼす)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「もたらす」と「及ぼす」という言葉は、どちらもある結果を招くことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「もたらす」と「及ぼす」の違い
「もたらす」と「及ぼす」の意味の違い
「もたらす」と「及ぼす」の違いを分かりやすく言うと、「もたらす」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使える、「及ぼす」はマイナスのイメージで使うのが一般的という違いです。
「もたらす」と「及ぼす」の使い方の違い
一つ目の「もたらす」を使った分かりやすい例としては、「長く続く干ばつが作物に甚大な被害をもたらす」「彼はこのチームに変化をもたらす存在になるだろう」「嵐は作物に大きな被害をもたらしました」などがあります。
二つ目の「及ぼす」を使った分かりやすい例としては、「コミニティに悪影響を及ぼす人は排除した方がいいだろう」「生活環境は性格に大きく影響を及ぼす」「タバコは身体に悪影響を及ぼす」などがあります。
「もたらす」と「及ぼす」の使い分け方
「もたらす」と「及ぼす」はどちらもある結果を招くことを意味している言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「もたらす」は「彼のゴールがチームに勝利をもたらす」「サイクロンは農作物に甚大な被害をもたらした」などのように、プラスとマイナスのどちらでのイメージでも使うことができます。
一方、「及ぼす」は「糖分の摂りすぎ体に悪影響を及ぼす」「災害が私たちの生活に被害を及ぼす」などのように、マイナスのイメージでのみ使うのが一般的というのが違いです。
あくまで一般的なだけなので、「及ぼす」をプラスのイメージで使っても間違いではないのですが、基本的にはマイナスのイメージで使うと覚えておきましょう。
「もたらす」と「及ぼす」の英語表記の違い
「もたらす」を英語にすると「bring」「lead to」「cause」となり、例えば上記の「嵐は作物に大きな被害をもたらしました」を英語にすると「The storm caused a great deal of damage to the crops」となります。
一方、「及ぼす」を英語にすると「influence」「affect」「harm」「damage」「have an effect on」となり、例えば上記の「タバコは身体に悪影響を及ぼす」を英語にすると「Cigarette smoking has a bad effect on one’s health」となります。
「もたらす」の意味
「もたらす」とは
「もたらす」とは、ある状態を実現させることを意味しています。
「もたらす」の漢字表記
「もたらす」を漢字にすると、「齎す」と表記することができますが、常用漢字ではないため一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「もたらす」を使うようにしましょう。
表現方法は「変化をもたらす」「効果をもたらす」「利益をもたらす」
「変化をもたらす」「効果をもたらす」「利益をもたらす」などが、「もたらす」を使った一般的な言い回しです。
「もたらす」の使い方
「もたらす」を使った分かりやすい例としては、「会社に利益をもたらすことを一番に考えて仕事をしています」「大型台風は農作物に大きな被害をもたらしました」「四葉のクローバーは幸せをもたらす」「彼の発明は弊社に莫大な利益をもたらしました」などがあります。
「もたらす」はある状態を実現させることを意味する動詞です。つまり、何かが原因となりとある状態になる場合に使う言葉になります。
「もたらす」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使えるのが特徴です。
例えば、「彼が打ったホームランがチームに勝利をもたらしました」「新サービスは弊社に利益をもたらしました」などのように使う場合はプラスのイメージになります。
一方、「彼の身勝手な発言が会社に不利益をもたらしました」「大型地震による津波は多くの人々に被害をもたらしました」などのように使う場合はマイナスのイメージになると覚えておきましょう。
「もたらす」の類語
「もたらす」の類語・類義語としては、事件や騒ぎなどを新たに生じさせることを意味する「引き起こす」、ある事が原因となって他の事を引き起こすことを意味する「誘発」、新しいもの今までなかったものを作り出すことを意味する「生み出す」などがあります。
「及ぼす」の意味
「及ぼす」とは
「及ぼす」とは、ある作用や影響などが達するようにすることを意味しています。
表現方法は「悪影響を及ぼす」「被害を及ぼす」「及ぼす影響」
「悪影響を及ぼす」「被害を及ぼす」「及ぼす影響」などが、「及ぼす」を使った一般的な言い回しになります。
「及ぼす」の使い方
「及ぼす」を使った分かりやすい例としては、「この作品が業界に及ぼす影響は大きいだろう」「息子に悪影響を及ぼす人に会わせることはできません」「先月あった地震は多くの人に被害を及ぼすこととなりました」などがあります。
「及ぼす」はある作用や影響などが達するようにすることや及んだ状態にすることを意味する動詞です。つまり。要因となるものが影響を与えて、とある状況に及ぶ時に使われる言葉になります。
「及ぼす」は「彼の発言が業界に及ぼす悪影響は大きいだろう」「地球温暖化は地球に深刻な影響を及ぼすことは間違いありません」などよのように、マイナスのイメージで使うのが一般的です。
ただし、あくまで一般的なのでプラスのイメージで使っても問題ないのですが、基本的にはマイナスのイメージで使った方がいいと覚えておきましょう。
「及ぼす」の類語
「及ぼす」の類語・類義語としては、他のものに力を及ぼして影響を与えることを意味する「作用」、決定的な影響を与えることを意味する「左右する」、物事の力や作用が他のものにまで及ぶことを意味する「影響」などがあります。
「もたらす」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある状態を実現させることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「もたらす」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使うことができます
「及ぼす」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある作用や影響などが達するようにすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「及ぼす」はマイナスなイメージで使われることが多い言葉です。
「もたらす」と「及ぼす」はどちらもある結果を招くことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「もたらす」はプラスのマイナスどちらのイメージでも使える、「及ぼす」はマイナスのイメージで使うのが好ましいと覚えておきましょう。