同じ「あんてん」という読み方の「暗転」と「暗点」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「暗転」と「暗点」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
暗転と暗点の違い
暗転と暗点の意味の違い
暗転と暗点の違いを分かりやすく言うと、暗転とは舞台用語であり、暗点とは医療用語であるという違いです。
暗転と暗点の使い方の違い
一つ目の暗転を使った分かりやすい例としては、「わずか1日で事態は暗転した」「失業により順調な暮らしが暗転する」「ステージは暗転と共に銅鑼の音が響いた」「コントは暗転板付で始まりました」などがあります。
二つ目の暗点を使った分かりやすい例としては、「ネットで閃輝暗点の原因と治療法を調べました」「眼科で視野の暗点が生じるメカニズムについて説明を受ける」「緑内障に特徴的な弓状暗点が認められた」「自分の過ちを暗点化する」などがあります。
暗転と暗点の使い分け方
暗転と暗点という言葉は、どちらも「あんてん」と読みますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
暗転とは、演劇がミュージカルなどで使われる舞台用語で、幕を下ろさずに舞台を暗くして、その間に場面を変えることを意味します。上記の「暗転板付」とは、暗転中に舞台上の立ち位置につくことです。また、「事態は暗転する」のような使い方で、物事が暗い方向に転換することも意味します。
暗点とは、医療用語で視野のなかで部分的に見えない部位を意味し、「閃輝暗点」「弓状暗点」のような使い方をします。また、暗点という言葉は、隠された部分や事柄の意味も持ち、上記の「過ちを暗点化する」は過ちを隠そうとすることを表しています。
つまり、暗転は舞台用語や物事が悪化することを意味し、暗点は医療用語や隠れた部分を表します。二つの言葉は、意味が全く異なる同音異義語のため、互いに置き換えて使うことはできません。
暗転と暗点の英語表記の違い
暗転を英語にすると「dark change」「blackout」「take a turn for the worse」となり、例えば上記の「事態は暗転した」を英語にすると「the situation took a turn for the worse」となります。
一方、暗点を英語にすると「scotoma」「hidden part」「hidden things」となり、例えば上記の「閃輝暗点」を英語にすると「flittering scotoma」となります。
暗転の意味
暗転とは
暗転とは、演劇で、幕を下ろさず、舞台を一時暗くして場面を変えることを意味しています。
その他にも、「事態が急に悪いほうへ変化すること」の意味も持っています。
暗転の使い方
「暗転中からヒロインの叫び声が聞こえる」「暗転板付での立ち位置を確認する」「画面暗転のためパソコンを修理に出しています」などの文中で使われている暗転は、「演劇で、舞台を一時暗くして場面を変えること」の意味で使われています。
一方、「歯車が一つ狂うだけで人生が暗転してしまう」「株式相場は瞬く間に暗転することがあります」「これから世界経済は暗転するのでしょうか」などの文中で使われている暗転は、「事態が急に悪いほうへ変化すること」の意味で使われています。
暗転とは、舞台用語で、場面が変わるときに照明を消したなかで舞台転換を行なう演出方法を意味します。転じて、移り変わる物事のありさまや事件が、良くない方向に転換することも意味する言葉です。
「暗転幕」の意味
暗転を用いた日本語には「暗転幕」があります。暗転幕とは、どん帳のすぐ後ろに設置してある黒い幕のことであり、どん帳を下ろすことなく使われます。舞台を暗くして次の舞台準備を行うことが難しい場合に、暗転幕の中で照明を付けて作業をすることがあります。
暗転の対義語
暗転の対義語・反対語としては、舞台が明るいまま場面を変えることを意味する「明転」、状況がよい方へ向かうことを意味する「好転」などがあります。
暗転の類語
暗転の類語・類義語としては、舞台の暗転を意味する「ブラックアウト」、舞台や画面を暗くして場面を転換することを意味する「ダークチェンジ」、次第に悪くなることを意味する「悪化」、物事のようすが急に変わることを意味する「急転」、がらりと変わることを意味する「一転」などがあります。
暗点の意味
暗点とは
暗点とは、視野中の島状の欠損部分を意味しています。
その他にも、「隠された部分、また事柄」の意味しています。
暗点の使い方
「閃輝性暗点によって視野がさえぎられる」「閃輝暗点は目の症状として現れます」「片頭痛の前兆として閃輝暗点が生じる」などの文中で使われている暗点は、「視野中の島状の欠損部分」の意味で使われています。
一方、「彼は都合の悪いことをすぐに暗点化しようとする」「タイムライン上で暗点を表示する方法はありますか」「顔画像の暗点をデジタル補完する」などの文中で使われている暗点は、「隠された部分や事柄」の意味で使われています。
暗点とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で使用されているため文脈により意味を捉える必要があります。暗点という言葉は、文字通り「暗いポイント」を表し、視野のなかの暗くて見えない箇所や、よく見えない隠された部分を意味します。
「閃輝暗点」の意味
暗点を用いた日本語には「閃輝暗点」(読み方:せんきあんてん)があります。閃輝暗点とは、視野の一部にギザギザ模様の光が現れ、30分ほどで自然に消失する現象のことです。片頭痛の代表的な症状の一つとして知られています。
暗点の類語
暗点の類語・類義語としては、光覚を起こさない網膜の視神経乳頭の部分や見落としている点を意味する「盲点」、視野の一部に欠けた部分があるものを意味する「視野欠損」、予想する完全性が欠けていることを意味する「瑕疵」などがあります。
暗転の例文
この言葉がよく使われる場面としては、演劇で幕を下ろさず舞台を暗くして場面転換をすること、事件や情況などが暗い方向に転換することもいうを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3の暗転は、幕を下ろさず舞台を暗くして場面転換をすることを意味する舞台用語です。例文4や例文5の暗転は、情況などが暗い方向に転換することの意味で用いられています。
暗点の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目に見える範囲で局部的に見えない部分、暗い部分、隠れた部分や事柄を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3の暗点は、目に見える範囲で局部的に見えない部分を意味する医療用語です。例文4や例文5にある暗点は、隠れた部分や隠された事柄の意味で用いられています。
暗転と暗点という言葉は、どちらも「あんてん」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、舞台用語や物事が悪化することを表現したい時は「暗転」を、医療用語や隠れた部分を表現したい時は「暗点」を使うようにしましょう。