似た意味を持つ「怪我」(読み方:けが)と「病気」(読み方:びょうき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「怪我」と「病気」という言葉は、どちらも「身体の異常や不調」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
怪我と病気の違い
怪我と病気の意味の違い
怪我と病気の違いを分かりやすく言うと、怪我とは外的要因からなる身体の異常、病気とは外的要因ではない身体の異常という違いです。
怪我と病気の使い方の違い
一つ目の怪我を使った分かりやすい例としては、「転んで怪我をしてしまった」「基本的に小さな怪我に消毒薬は不要です」「突然の怪我や急な発熱に対処する自信がない」「クマに襲われて顔に大怪我を負いました」などがあります。
二つ目の病気を使った分かりやすい例としては、「病気にならないように食事に気を付けよう」「自分が病気になる夢を見ました」「病気不安症の原因は何が考えられますか」「病気を心配しすぎるのは良くありません」などがあります。
怪我と病気の使い分け方
怪我と病気という言葉は、どちらも身体に現れた異常や不調を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
怪我とは、身体に傷を負うことを意味し、急激かつ偶然な外来の事故によってその身体に被った傷害を表します。例えば、テニスをしていて足を捻挫してしまったり、料理の包丁で指を切ってしまったり、外からの作用によって発生するものです。
病気とは、身体の痛みや機能の低下などによる肉体的異変を意味します。長期の生活習慣や加齢あるいは遺伝的要素などから、ゆるやかに進行する体内の変化です。例えば、風邪、動脈硬化、心筋梗塞、腫瘍などが挙げられます。
つまり、怪我とは急激な外的要因からなるものであり、病気とは外的要因ではないゆるやかな異変です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
怪我と病気の英語表記の違い
怪我を英語にすると「injury」「wound」「cut」となり、例えば上記の「怪我をする」を英語にすると「be injured」となります。一方、病気を英語にすると「sickness」「disease」「illness」となり、例えば上記の「病気になる」を英語にすると「be taken ill」となります。
怪我の意味
怪我とは
怪我とは、誤って身体に傷を負うこと、また、その傷を意味しています。
その他にも、「思わぬ過ち、過失、損失」「思いがけない事態、不測の結果」の意味も持っています。
怪我の使い方
「怪我を早く治す絆創膏を買いました」「万一の怪我の保険に入っています」「頭に怪我をしたら何科を受診すればいいのだろう」などの文中で使われている怪我は、「誤って身体に傷を負うこと、その傷」の意味で使われています。
一方、「従業員のミスで会社は怪我を被った」の文中で使われている怪我は「思わぬ過ち、損失」の意味で、「怪我の功名とも言える嬉しい出来事がありました」の文中で使われている怪我は「思いがけない事態」の意味で使われています。
怪我の読み方
怪我の読み方は「けが」です。誤って「かいが」「けわ」などと読まないようにしましょう。
怪我の語源
怪我とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。「怪我」は当て字であり、動詞「けがる」の語幹から生まれた言葉です。
表現方法は「怪我の功名」
怪我を用いた日本語には「怪我の功名」があります。過失や災難と思われたこと、なにげなくしたことが、思いがけなく良い結果をもたらすことを意味します。「あやまちの功名」「けがの頓作」とも言います。
怪我の対義語
怪我の対義語・反対語としては、過失や事故がないことを意味する「無事」などがあります。
怪我の類語
怪我の類語・類義語としては、傷を負うことや怪我をすることを意味する「負傷」、体外から加えられた力によってできた傷を意味する「外傷」、人や物などが損なわれ傷つくことを意味する「損傷」、物が皮膚をかすってできる軽い傷を意味する「かすり傷」などがあります。
病気の意味
病気とは
病気とは、生体がその形態や生理・精神機能に障害を起こし、苦痛や不快感を伴い、健康な日常生活を営めない状態を意味しています。
その他にも、「悪い癖や行状」の意味も持っています。
病気の使い方
「英語の先生が病気でお休みです」「公務員の病気休暇は給与が全額支給されます」「AIが病気を診断する時代がやってくる」などの文中で使われている病気は、「生体が障害を起こし、健康な日常生活を営めない状態」の意味で使われています。
一方、「すぐにスマホをいじってしまう病気をなおしたい」「彼女の病気には付き合いきれないよ」「最近は病気を慎んでいるようです」などの文中で使われている病気は、「悪い癖や行状」の意味で使われています。
病気とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。病気の「病」は肉体的異変や行動の異変を表し、「気」は生命や意識などの状態や働きを表します。
表現方法は「病気休職制度」
病気を用いた日本語には「病気休職制度」があります。病気休職制度とは、企業が就業規則に定める休職制度の一つです。所定の期間内に復職することを条件に、業務外の疾病による長期欠勤を認める制度です。
病気の対義語
病気の対義語・反対語としては、からだに悪いところがなく丈夫なことを意味する「健康」などがあります。
病気の類語
病気の類語・類義語としては、病気や疾患を意味する「疾病」、病気を魔物にたとえていう語を意味する「病魔」、常時または周期的に苦しみ悩む病気を意味する「持病」、からだの具合などに悪い影響を与えることを意味する「障り」などがあります。
怪我の例文
この言葉がよく使われる場面としては、過失によって負傷すること、過ちをしでかすこと、思いがけない事態を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「大怪我」とは、事故にあって重い傷を負うことを意味します。比喩的に、大きな過ちを犯すことを意味することもあります。
病気の例文
この言葉がよく使われる場面としては、生体が正常と異なった形態または機能を示す状態、人の悪い癖を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「病気平癒」とは、現在かかっている病気や怪我が治ることを祈願することを意味します。
怪我と病気という言葉は、どちらも「身体の不調や異常」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、外的要因からなる身体の異常を表現したい時は「怪我」を、外的要因ではない身体の異常を表現したい時は「病気」を使うようにしましょう。