同じ「どうし」という読み方の「同志」と「同士」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「同志」と「同士」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
同志と同士の違い
同志と同士の意味の違い
同志と同士の違いを分かりやすく言うと、同志とは目的や考え方が同じ人、同士とは立場や性質が同じ人という違いです。
同志と同士の使い方の違い
一つ目の同志を使った分かりやすい例としては、「君を同志として認めるよ」「貧困撲滅を目指す同志としてともに頑張りましょう」「勇敢なる同志諸君、戦果を讃え合おう」「大学で同志と呼べる友ができた」などがあります。
二つ目の同士を使った分かりやすい例としては、「気の合う同士が集まった」「部員同士で励まし合ってきた」「参加者同士が仲良くなった」「紆余曲折の末はれて恋人同士となる」「オバサン同士の話に入れない」などがあります。
同志と同士という言葉は「どうし」と読む同音の言葉で、関係性を表し、似たような使い方をする言葉なのですが、意味は異なるので注意が必要です。同志は目的や目標、考え方など心の持ち方が同じ人を意味し、同士は立場や境遇、性質などが互いに共通している人を意味します。
上記の例の「貧困撲滅を目指す同志」とは、貧困撲滅を目指すという目標が同じ人なので「同志」が使われています。また、「部員同士」とは、同じ部に所属するという共通性があるので「同士」が使われています。
同志と同士の英語表記の違い
同志を英語にすると「comrade」「share the same values」となり、例えば上記の「同志として」を英語にすると「as a comrade」となります。一方、同士を英語にすると「fellow」「company」となり、例えば上記の「気の合う同士」を英語にすると「congenial company」となります。
同志の意味
同志とは
同志とは、こころざしや主義・主張を同じくすることを意味しています。
同志の使い方
同志を使った分かりやすい例としては、「同じような考え方の同志とSNSで繋がる」「亡くなった同志の心を受け継ぐ」「男女を超えた同志愛で結束する」「一緒に協力し合える同志が欲しい」などがあります。
その他にも、「ともに芸人を志す同志として頑張ろう」「同志的結合を通じてシナジーを創出する」「こども食堂を運営する同志が集まった」「価値観が変わり同志と決別する」などがあります。
同志の「志」の意味
同志という言葉の「志」は、訓読みで「こころざし」と読み、心が目標をめざして動くことを表します。志は心の内面を示しており、同志という言葉は、目的や目標、考え方を同じくすること人のことを意味します。政党の考えの同志から、身近な目標の同志まで様々な場面で使われています。
「同志的結合」の意味
同志という言葉を用いた日本語には「同志的結合」があり、同じビジョンをもった仲間を増やすために企業が結びついて一緒になることを意味します。単なる資本提携ではなく、将来への展望が同じであることによる結びつきを表現したい時に使われる言葉です。
同志の類語
同志の類語・類義語としては、一緒に物事をする間柄を意味する「仲間」、主義主張などを同じくする人たちを意味する「一派」、同じ職業や業種の人を意味する「同業者」などがあります。
同志の志の字を使った別の言葉としては、大きなこころざしや将来の遠大な希望を意味する「大志」、ある物事にかかわろうとする意志のあることを意味する「有志」などがあります。
同士の意味
同士とは
同士とは、身分や境遇、性質などが互いに共通している人を意味しています。
同士の使い方
同士を使った分かりやすい例としては、「バツイチ同士の結婚は最高に幸せだ」「似た者同士カップルは長続きする」「初対面同士で会話が続かない」「女同士の修羅場は恐ろしい」などがあります。
その他にも、「戦いでは同士討ちによる死傷者も出た」「NPO法人同士が情報を共有して協力し合う」「地域住民同士が助け合う社会」「男同士で殴り合いのケンカだ」「いとこ同士で仲が良い」などがあります。
表現方法は「恋人同士」「似た者同士」「初対面同士」
同士という言葉は、身分や境遇、性質などにおいて互いに共通点をもっている人を意味します。立場や特徴などにより人の関係をくくる表現であり、同志よりも大きな範囲で使われます。また、「恋人同士」「似た者同士」「初対面同士」など、名詞の下に付いて接尾語的にも用いられます。
「同士討ち」の意味
同士という言葉を用いた日本語には「同士討ち」があり、味方と味方の争いや、仲間うちで争うことを意味します。誤って「同士打ち」と記述されることがありますが、攻撃する意味を持つ「討つ」を用いる「同士討ち」が正しい表現です。
同士の類語
同士の類語・類義語としては、同じ目的や趣味を持っている人を意味する「同人」、一緒に連れ立って行く者を意味する「伴侶」、職場が同じである人を意味する「同僚」などがあります。
同士の士の字を使った別の言葉としては、国家のために身命をなげうって尽くす人物を意味する「国士」、話し方のじょうずな人を意味する「弁士」などがあります。
同志の例文
この言葉がよく使われる場面としては、こころざしや主義・主張を同じくすることを表現したい時などが挙げられます。
例文1の「同志を募る」とは、目的や考え方が同じ人を広い範囲に呼びかけて集めることを意味します。例文2の「情報革命同志」とは、コンピューターの発達がもたらす社会変革という同じ目的を持つ人を表します。
同士の例文
この言葉がよく使われる場面としては、身分や境遇、性質などが互いに共通している人を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「いとこ同志」は誤りで、正しくは「いとこ同士」と表現します。いとこは、考え方に関係ない血縁関係での結びつきのため、「同士」と表現します。例文3にある「ライバル同士」は、レギュラーメンバー入りを争うという状況が共通しているため、「同士」が使われています。
同志と同士という言葉は、どちらも「どうし」と読み、似たような使い方をする言葉なのですが、意味は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合は、目的や考え方が同じ人を表現したい時は「同志」を、立場や性質が同じ人を表現したい時は「同士」を使うようにしましょう。