似た漢字を持つ「具象」(読み方:ぐしょう)と「抽象」(読み方:ちゅうしょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「具象」と「抽象」という言葉は、似た漢字ですが意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
具象と抽象の違い
具象と抽象の意味の違い
具象と抽象の違いを分かりやすく言うと、具象とは形がはっきりしていること、抽象とは形がはっきりしていないことという違いです。
具象と抽象の使い方の違い
一つ目の具象を使った分かりやすい例としては、「努力などの具象性の低い抽象的な概念を理解した」「具象彫刻について勉強した」「具象表現によって捉えようとするのも大事だ」「これは具象的な絵画です」などがあります。
二つ目の抽象を使った分かりやすい例としては、「抽象的過ぎて分からない」「抽象語を理解することは難しい」「抽象的な文章は分かりにくい」「抽象化思考にはメリットがある」などがあります。
具象と抽象の使い分け方
具象は形がはっきりしていることを意味しており、抽象は形がはっきりしないことを意味しているため、具象と抽象は対義語・反対語になっています。
具象と抽象の違いを分かりやすい例で挙げると、「人」「動物」「植物」「山」「雨」などの形をみて何か知ることが出来るものが具象となり、「不安」「勇気」「元気」「愛情」「成長」など形で表すことの出来ないものが抽象になります。
具象と抽象の英語表記の違い
具象を英語にすると「Concrete」となり、例えば上記の「具象的な絵」を英語にすると「Concrete picture」となります。一方、抽象を英語にすると「abstract」となり、例えば上記の「抽象的な文章」を英語にすると「Abstract text」となります。
具象の意味
具象とは
具象とは、形がはっきりとしていることを意味しています。
具象の使い方
具象を使った分かりやすい例としては、「愛情や友情などの具象性の低い抽象的な概念を理解した」「絵画の世界を見事に具象化してたのは流石だ」「具象以前を大切にしていきたい」「すべての定義が揃ったクラスを具象クラスと呼ぶらしい」などがあります。
その他にも、「優れた具象彫刻を見て感動した」「具象絵画の方が日本人には理解されやすい」「人間や動植物など具象的表現に取り組む作家はたくさんいる」「非具象主義などの前衛運動に参加した」などがあります。
具象という言葉の範囲を例で挙げると、「人」「車」「建物」「魚」など、目でみてすぐに形が分かり何かを理解出来るものになります。また、「雨」「雲」「波」「煙」など不定形であっても写真や絵などで示すことが出来るため、「具象」に分類されます。
「具象絵画」の意味
「具象絵画」という言葉が出来るほど、画家など芸術家の間に多く浸透しています。「具象絵画」とは描くモチーフがある絵のことを意味しており、例えるなら人物や建物を描いた絵のことです。
具象の類語
具象の類語・類義語としては、思想や観を具体的な形で現すことを意味する「体現」、実際に具体的な形に現すことを意味する「具現」、人間でないものを人間に見立てて表現することを意味する「擬人化」、はっきりと姿を現すことを意味する「顕現」などがあります。
具象の具の字を使った別の言葉としては、草案を立てることを意味する「具案」、「はっきりとした実態を備えていることを意味する「具体的」、直接知覚出来る具体的な形を持っていることを意味する「具体性」などがあります。
抽象の意味
抽象とは
抽象とは、形がはっきりしていないことを意味しています。
抽象の使い方
抽象を使った分かりやすい例としては、「抽象語を使いこなしたい」「抽象的な概念を表現する事は少ない」「抽象論はやめて具体的に話そう」「抽象クラスについて中々理解できない」「論理的思考には抽象化する力が大事」などがあります。
その他にも、「この文章は抽象的で分かりにくい」「抽象的な観念しか持てなかった」「抽象化して共通点を見つけた」「抽象的思考を身に着けた」「その話はとても抽象的だ」「初めて抽象画を描いた」などがあります。
抽象という言葉の範囲を例で挙げると、「友情」「希望」「愛情」「意欲」「不安」など形で表せないもののことを指します。
上記の例の「この文章は抽象的で分かりにくい」のように、ビジネスシーンで抽象という言葉を使う場合、マイナスなイメージになりやすいです。ビジネスシーンでは具体的に表現することが大事なため、上司から「もっと具体的に説明して」と言われたことがある方も多いはずです。
「抽象絵画」の意味
抽象を使った言葉に上記の例にも挙げている「抽象絵画」があります。これは「具象絵画」と対になっている言葉で、描くモチーフがない絵のことを指しています。描くモチーフがないので何を書いたか理解するのは相当難しいです。
抽象の対義語
抽象の対義語・反対語としては、物事が直接的に知覚される形を備えていることを意味する「具体」などがあります。
抽象の類語
抽象の類語・類義語としては、抽象的にすることを意味する「抽象化」、内容の事柄をまとめることを意味する「概括」(読み方:がいかつ)、特殊なものから普遍的な法則を作り出すことを意味する「普遍化」、広く行き渡ることを意味する「一般化」などがあります。
抽象の抽字を使った別の言葉としては、多くの中からある特定のものを抜き出すことを意味する「抽出」、くじを引くことを意味する「抽選」などがあります。
具象の例文
この言葉がよく使われる場面としては、形がはっきりとしているものを表現したい時などが挙げられます。
例文5にように芸術関連で形のはっきりしたものをモチーフに作品を作った時によく使われます。
また、例文1のように具象と抽象という対になる言葉を出して比較して使われることも多いです。
抽象の例文
この言葉がよく使われる場面としては、形で表せないものをを表現したい時などが挙げられます。
例文3のように抽象的な言葉ばかりを並べて話すと相手に中々伝わらないことが多いです。また「抽象」を日常会話やビジネスシーンで使う場合は、「抽象的」という言葉になってよく使われます。
抽象は悪い意味を持っていないのですが、マイナスなイメージに繋がることも多いです。特に、他人に説明する時は抽象的な言葉を使いすぎると相手に理解されないため、なるべく具体的な言葉を使うようにしましょう。